子や子の配偶者、甥姪などの親族に社長を交代し、株式を承継して事業を引き継ぐことを親族内承継と言います。
私たちの調査(※)で、後継者又は後継者候補がいると回答した73.7%の社長たちのうち、77.7%が親族内承継(「実子67.1%」「その他の親族10.6%」)でした。
しかし、そのうち社長交代時期が決まっているのは僅かに3.8%でした。
「決まっていない」が66.1%、「時期は未定だが希望・予定はある」が30.2%でした。
つまり、この結果から、中小企業の事業承継の大半が親族内承継であることと、この調査対象の社長平均年齢が71.6歳であることと考え合わせると、
その決まっているはずの後継者への社長交代がなかなか進まないということがわかります。
親族内承継のメリットと留意点
メリット |
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留意点 |
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※しんきん支援ネットワーク事業承継実態調査
道内6つの信用金庫職員が約半年をかけて、2,000人以上の経営者から個別のインタビュー方式でデータを収集。本レポートはそのデータに基づいた「経営者の生の声」のレポートとなっております。
■ 家族コミュニケーションは難しい?!
家族間のコミュニケーション、特に父と子のコミュニケーションで難しさを感じているケースは大変に多く、それが親族内承継の本質的問題のひとつです。
ちょうど子供の思春期の頃に経営者として必死になっていた父親は、家族としての関係性が未熟なことがあります。それが遠慮になったり、逆に無遠慮になったりして、滑らかに会話ができないという状況を作ります。
親子などの近い関係ならではの「そのくらい、言わなくてもわかっているだろう」という甘えや思い込みは、肝心なことが伝わらない原因のひとつです。大切なことは「話すと聴くのバランス」であり、そこにある違いを認め合い発展させ承認や励ましを与えあうことが、家族本来のコミュニケーションです。
■ 事業承継の計画を立てよう!
親族内承継は、社内承継やM&Aと比べて事業と会社に対する愛情や責任が、たしかに受け継がれていきます。しかし、現社長の強すぎる責任感と親子の情(苦労させたくない、困難を取り除いてあげたい…など)によって引き継ぐことの不安を拭うことはできず、そのために社長交代時期がどんどん後ろに延びていきます。
加えて、親族内承継は株式など財産承継の問題もあってより複雑です。親族関係者の思いや利害の調整、経営財務の今後の課題取組や目標・計画、役員社員の年齢や次の管理体制、そして、株式などの相続や贈与など異なる性質の事柄が複雑に絡み合うからこそ、しっかりとした事業承継計画を作ることが必要です。
■ 計画的な事業承継の基本は株式贈与
事業承継計画の中で、特に代表者交代のスケジュールと合わせて株式承継の時期や方法を考えます。
それがないのに株価を計算し、将来の贈与税や相続税額の負担ばかりを嘆いていても何も進みません。
引き継ぎの時期が来る前に、概算ではなく正確な株価評価計算を行い、あらかじめ株式を承継に際して生じる問題や課題を理解し、その手法や対策を検討しておくことが有効です。事業承継を計画的に進めるには、株価を知るだけでは意味がありません。自社の株価を高めている要因や、株価引下げ策の可能性、難易度の把握、株式の承継(贈与、相続、譲渡)の課題を明らかにすることが大切です。株価は将来の戦略や経営成果、株式承継の時期や方法等によって変化しますので、会社に固有の問題点や課題を理解して事業承継計画に反映させていきます。
Step1. 親族内承継への準備 |
(1)機会を与え育つ環境におく
(2)代表者交代の時期を決める
(3)経営の課題取組と次世代に向けた基盤を固める
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Step3. 事業承継計画の実行 |
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